有名な医学界国際学術誌がなぜ「敵対勢力」になったのか?
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 【明慧日本2013年3月13日】今年の2月末、中国のマスメディアは、一斉に中国衛生部と赤十字中国本部が共同で主催した「全国人体臓器提供テレビ・マスコミ会議」を大きく取り上げ報道した。報道によると、この会議で中国衛生部の副部長の黄洁夫が「我が国は世界で唯一死刑囚の臓器をシステム的に利用している国である」と自慢げに話し、さらに「それなのに、国際敵対勢力は死刑囚からの臓器提供のことを大げさに取り上げている。彼らは明らかに中国国内から投稿した臓器移植関連の論文に反対の立場から三つの不要、つまり『受理しない。公表しない。協力しない』の態度を取っている」と強く批判した。

 では、この衛生部副部長が指す「国際敵対勢力」とは誰か? 黄が指す三つの不要を提示したのは、国際的に有名な医学界で権威ある学術誌のThe Lancet(柳葉刀)誌である。なぜなら、The Lancet(柳葉刀)誌は2011年の10月号のトピックスで「我々国際社会は共に協力して、中国が死刑囚からの臓器提供であるという名目で生体臓器狩りを組織的に行っている行為を阻止すべきである」という声明文を出し、さらに中国からの臓器移植関連の成果発表に対して厳重に三つの不要、「受理しない」「公表しない」「協力しない」方針を取ったからである。

 The Lancet(柳葉刀)誌が医学界で誰もが認める権威ある学術誌になっている理由は、The Lancet(柳葉刀)誌が医学界に「業界の基本的な道徳とモラルを守るべきである」ことを成果発表の原則にしているからである。ではなぜ、The Lancet(柳葉刀)誌が中共(中国共産党)の医学界に不信感を持ったのか? それには客観的な事実があるからである。その理由の一つは、いわゆる死刑囚からの臓器提供というのはあくまでも名目で、生体臓器狩りをして莫大な利益を手に入れているからである。もう一つの理由は、中国国内で臓器移植手術が行われた件数が2000年~2006年の間に急にこれまでの数倍の勢いで爆発的に増加したことの説明がつかないからである。

图说:根据中国卫生部副部长黄洁夫等发表在《柳叶刀》上的一九九七年~二零零七年中国器官手术数量分布图绘制。此图是在原图的基础上,把黑条框所示的肝移植数量用白条框累加到肾移植数量上,并用红线勾画出总移植数量增长趋势。

このグラフは、中国衛生部副部長の黄洁夫がThe Lancet誌に公表した論文の数字である。つまり、1997年~2007年の間の中国全国における臓器移植手術の推移数字を基に作成したものであり、この中の黒色部分は肝臓移植件数で、白色は腎臓移植の数字である。上の赤線は移植の総数である。このグラフから、移植件数が2000年から増え続け2004年にピークになったことや、これまでの数倍増加したことが明らかである

 国際医学界の心配は憶測ではない。単なる中国当局からの報道や中華医学会の臓器移植件数から見ても1994年~1999年の6年間、中国国内で行われた臓器移植手術の件数は1万8千500件であったが、2000年~20005年の6年間でその3倍以上の6万件を超えていることである。中国日報の報道によると、2006年の1年間だけで2万件の臓器移植手術が行われていた。臓器の提供(ドナー)が不足しているというのは国際社会の常識である。臓器の提供が不足している問題が今まで医学会、及び患者たちを悩ませてきた難題だが、中国はわずか6年間でどのようにこの国際的な難題を突破できたのか。先ほどの数字から見ても、前の6年間(1994年〜1999年)と後の6年間(2000年〜2005年)で中国の裁判所などで取り上げられた死刑判決、死刑囚の数などには大きな変化はなかった。6年間で死刑囚が3倍増加した事実も見られない。それでどうやって死刑囚からの臓器提供を3倍も増やしたのか? 大きな疑問が残る。4万1千件以上の臓器提供者をどのような手段で手に入れたのか? 疑問だらけである。

 実は2006年3月、著名な国際人権弁護士デービット・ マタス(David Matas)氏とカナダ前アジア太平洋局局長で元ベテラン国会議員のデービッド・キルガー(David Kilgour)氏がそれぞれ「中共(中国共産党)の病院と労働教養所・刑務所・武装警察が結託をして、組織的に大規模に強制連行された法輪功修煉者たちに対して生体臓器狩りが行われている」と証明した。同年7月、2人の証人はそれぞれ、中共による法輪功修煉者をターゲットした生体臓器狩りが行われているという独立調査報告を国会に提出した。キルガー氏とマタス氏はその後、中国への入国を試みたが拒否されている。国会に提出されたこの独立調査報告書には、医者の証明と患者による証明文が証拠として出されている。その中で中共の公文書、電話による聞き取り調査、52種類の間接的な確認調査が報告されている。結論として「法輪功修煉者への強制的な生体臓器狩りはかつて行われ、今も行われている」との証拠が提出されている。

 この報告が提出されてから、国際医学界は専門家の立場と角度からこれは事実であると証明した。例えば、イギリス皇族医学会雑誌の2007年3月号vol. 100号では『法輪功、臓器移植、大虐殺、我々との関係』というタイトルで移植専門医のTom Treasure博士の論文が発表された(Treasure T.: The Falun Gong,organ transplantation, the holocaust and ourselves. J R Soc Med 2007;100:119–21)。この論文では「この告発(キルガ―氏とマタス氏の報告書を意味する)の最も恐ろしい点は、これが事実であれば我々の仲間である医師、特に移植医らがこの犯行に参与したことにある。また私の論文の価値は、キルガー氏と マタス氏の報告の信頼性が高いことを私は移植医として専門の立場から証明したことにある」と結論付けられている(http://pkg2.minghui.org/mh/center/organ/death-roll-organs.html)。

图说:前联合国酷刑问题特派专员、著名国际人权专家曼弗雷德‧诺瓦克(Manfred

元国連刑事問題特派員で、著名な国際人権弁護士のマンフレッド・ノワク教授は2011年11月8日、台湾大学で講演を行い、中共の最も恐ろしい犯罪手段は、法輪功修煉者を対象とした生体臓器狩りだと述べ、この告発は信頼できるものであると結論付けた

 このほかにも独立した調査が行われ、全く同じような結論に至っている。例えばアメリカのミネソタ大学公衆衛生研究所のKirk Allison教授は、2006年9月29日にアメリカの国会で証人として呼ばれ、法輪功修煉者を対象とした生体臓器狩りに関する独立調査・分析報告が話された。同時にKirk Allison教授はキルガー氏とマタス氏による調査は信頼性が高いと国会で断言した(http://organharvestinvestigation.net/events/allison-092906-to- us-congress.pdf)。元国連刑事問題特派員・著名な国際人権弁護士のマンフレッド・ノワク教授は2011年11月8日、台湾大学で講演を行い、中共の最も恐ろしい犯罪手段は―法輪功修煉者を対象とした生体臓器狩りだと述べ、この告発は信頼できるもの(credible)であると結論付けている。

 2008年11月21日、国連機関が直接、中共政府に対して独立した調査機関を設け、「法輪功修煉者を対象とした生体臓器狩り」が行われていたかどうかを明らかにする必要があると強く要求している。もし行われていたとしたら直接、責任者を法律で裁く必要があると中共に要求している。

 実は、2006年に「法輪功修煉者を対象とした生体臓器狩り」が告発された後、中国全土で臓器移植手術が半減している。これも間接的に中国では確かに「法輪功修煉者を対象とした生体臓器狩り」が行われており、国際社会からの批判を恐れて公然と手術ができなくなっていると分析することができる。

 国際学術雑誌まで中国の医学会、医学界の同業者の「敵対勢力」になったことは、中共の医師たちの医師としての道徳とモラルがかなり低下しているということである。

 
(中国語:http://www.minghui.org/mh/articles/2013/3/11/270837.html)
 
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