【5.13応募原稿】ずる賢く計算高かったのが、他人のために貢献する人間に(一)
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文/中国の大法弟子

 【明慧日本2023年9月2日】幼い時、私は本を読むことが好きでした。小説、歴史、政治、哲学だけでなく、占いや気功に関する本も好きでした。中国の禁書や貴重な版の本も、私はいくつか読んだことがありました。自分は何事もできると自負し、おそらく自分は普通の人間ではないと思い込み、そして将来は自分も本を書こうと考えていました。

 1996年6月、友人の強い勧めで、私は素晴らしい本、『轉法輪』を読みました。その内容に心が震え、まるで暗闇の中で一筋の光を見たかのように、目の前が一気に明るくなり、これまで悩んでいた人生の問題が一気に理解できた感じでした。そして、本当に視野が広がったと感じました。私はこの本に感動し、数日間興奮しました。この本を宝物とみなし、毎日必ず読み続け、20年以上も一度も途切れることなく読み、私の人生は根本的に変わりました。

 大法を修煉する前、他人からの私に対しての評価は「ずる賢くて世慣れし、自己中心的で策略を巡らせる」というものでした。名声と利益のために、私は一生懸命に戦い続けましたが、望んだとおりに手に入れたものもある一方で、体中に病気を抱え、疲れ果てて生きることになりました。大法を修煉してから、身体が健康になり、楽しい気分になりました。気持ちがおおらかになり、他人を理解し、善意で接するようになりました。人を助けることに喜びを感じ、物事に対して他人の立場を考えることができるようになりました。以下では、物事に対して他人の立場を考えることができるようになったことのいくつかの事柄についてお話しします。

 賃借人が「あなたは全市で最も素晴らしい人です」と言った

 私は広い物件を所有していて、それは地価の高い地区に位置しています。さらに、玄関の外には空き地がありました。この地域では一般的に6万元(1元は約20円)で借しますが、私は5万元で貸していました。私の原則は、賃借人を理解し、市場価格よりも低い価格で提供することで、良い縁を築くことでした。

 賃借人はレストランを開業して、私の物件を借りたものの、その賃借人のビジネスはずっとあまり好調ではありませんでした。その賃借人の弟が他の都市で病気で入院しており、姪(訳注:弟の娘)は小さく、弟の妻は家を出ることができませんでした。長い間、その賃借人は弟の看護をするために行ったり来たりしていました。

 年が明けた後、家賃の支払いになった時、その賃借人は「何日か支払いを猶予していただけませんか?」と電話をかけてきました。私は冗談も言わずに「いいよ!」と言いました。少し言葉を交わした途端、電話の向こうの相手は声を詰まらせて、「私の弟がたった今逝ったばかりで、弟の妻と姪が一緒になって泣いています。私が落ち着かせる役目を果たさなければなりませんので、車を借りて彼らを連れ戻し、葬儀の手配をしなければなりません」と泣き出しました。私も心が重くなり、その賃借人にどんな手助けが必要か尋ねました。その賃借人はすすり泣きしながら「家賃を催促しないだけでも、私を気遣ってくださっていると言えます。他に助けていただくことはありません」と言いました。この時その賃借人が必要としているのはお金なので、少しの助けでも役に立つことが私には分かりました。私は「それでは、家賃を支払う際に5千元減額しましょう。それをあなたの交通費として考えます」と言いました。その賃借人は非常に驚き、感動して「あなたは他の人と違います。私は尊敬すべき人に巡り会えたと思います」と言いました。

 6カ月後、その賃借人は電話をかけてきて口座番号を聞いてきました。私は突然「慣習に従えば、結婚式や葬儀には贈り物を持参するべきだ。彼とは親戚でも友人でもないが、彼が困難な状況にあることを考えると、経済的にも余裕がないかもしれない。私は少しだけ善意の行動をして、彼の心を温かくした方がいい」と思いました。それで、私はその賃借人に「お金を振り込む時にさらに2千元減らしてください。これは私からのお悔やみのお金です」と電話をかけました。その賃借人は驚いて、何度も繰り返して「それはダメです! それはダメです! あなたはもう十分に思いやりがあります」と言いました。私は「お悔やみのお金です。受け取らない理由はないでしょう」と言いました。電話を切った後、私は心地よく穏やかな気分になりました。

 時折、私はその賃借人の店の前を通りかかると、ついでに中に入って見て回りました。その賃借人は時々特別な要求を持ち出すこともありました。例えば、防犯ドアが壊れて修理に500元かかる、ドアのガラスが壊れて修理に200元かかる、新しい鍵を交換するのに60元かかるなどでした。修理については契約書に明確に書かれており、その賃借人が責任を持つことになっていましたが、私は気にしませんでした。そこで、すべてその賃借人の希望どおりにしました。大法を修煉してから、物事に冷静に対処できるようになりました。以前なら少しも譲りませんでした。

 さらに2年が経過し、感染症が地域に広がり、頻繁に都市や地区が封鎖されました。家賃を支払う1週間前に、その賃借人はまた電話をかけてきて、言葉を詰まらせながら「この電話をかけることについて、私は何日もためらいました。申し訳ありませんが、言いにくいことがあります」と言いました。その賃借人が家賃を減額してほしいと思っている可能性があると私は感じ「はっきりと言ってください」と言いました。その賃借人は「私は支払いたいのですが、疫病がひどいので誰も入店してくれません。リフォームに16万元もかかり、まだ収益が戻っていません。5万元ではなく、2万5千元にしていただけませんか? どうか手を差し伸べていただき、この難局を乗り越えさせてください。疫病が過ぎ去ったら、また家賃を上げてもらって構いません」と言いました。以前その賃借人は言ったことがありました。疫病のこの数年間、その賃借人の息子と嫁も失業し、店で働いていました。幼少から高齢までの3世代の人がこの小さな店を頼りにしていました。家賃を除けば、生活費だけが残りました。

 私はよく分かっていました。現在はお金を稼ぐ時ではなく、生き延びる時でした。世界が滅びる最後の時に人類全員が危険にさらされていました。疫病だけでなく、さまざまな災難が絶えず起こっていました。神が、党、共青団、少年先鋒隊に加入した人々を淘汰し始めていました。その賃借人とその賃借人の家族全員は三退の手続きしました。その賃借人は大法を高く評価していたので、平安であることが確約されました。しかし、家賃2万5千元は現在の相場に比べると安すぎます。私はお金を重視しませんでしたが、物事は別個に考えるべきであり、修煉者も常人の状態に合わせて行動するべきで、極端な行動は避けるべきでした。私は「3万元にしましょう。疫病で客足が少なくても、この金額ならあなたも損はしないはずです」と言いました。少し家賃を減らして、その賃借人の家族を救うことにしました。

 その賃借人はとても感激して「あなたは市内で最も素晴らしい人であり、品性が非常に優れています」と言いました。何度もその賃借人は私に「レストランに来てください」と誘ってきましたが、私は断りました。私は家賃をもらうだけで純利益になりますが、その賃借人は何回料理を作れば元を返せるのでしょうか? その賃借人の店に行くたびに、私は食事を避けて、その賃借人に迷惑をかけないようにしていました。

 その後、近くの不動産オーナーが私に「私だったら変わらず5万元で賃貸を続けるよ。彼らの要求に耳を貸さないで」と話しかけてきました。私は微笑むだけで何も言葉を発しませんでした。

 二つの(水洗便所用の)浄化槽を建設する

 私の倉庫は古い住宅街の1階にあり、引っ越してきた年に深刻な問題が発生しました。床下の排水溝から時折排せつ物が外に出てしまい、不動産管理会社に下水道などの詰まりを解消する作業を依頼する度に、周囲の品物が汚れてしまい、非常に困りました。

 後で知ったことですが、(水洗便所用の)浄化槽が満杯になっていたのでした。不動産管理会社はバキュームカーを雇わず、外部の業者を雇うにはお金がかかるので、なるべく延ばしていたようでした。このことで住民の不満は非常に大きくなっていました。私は考えた結果、倉庫には誰も住んでいないので、(下水への)排水溝を完全に封じることにしました。すると、後で分かったことですが、1階の排水溝を完全に封鎖した結果、今度は糞便が2階から漏れ出し、2階の世帯を非常に不快にさせてしまいました。毎回不動産管理会社のスタッフが2階で下水道の詰まりを解消する作業をしているのを見るたびに、私は心が痛くなりました。私が1階の排水溝を完全に封鎖しなければ、糞便は2階には行かなかったでしょう。私は自分が思いやりに欠けていると感じていました。自分の身の回りのことにばかりに気を取られて他人のことを考えていませんでした。

 私はずっとこの問題をどう解決するか考えていました。近所に土木工事をしている人がいて、ある時、雑談の中で、その土木工事をしている人が「この建物は最初から浄化槽の設計に不具合がありました。浄化槽の中に少しでも糞便がたまると、それが1階からも湧き出してくるので、頻繁に清掃する必要があります」と言いました。私は「それなら定期的に清掃することはできませんか?」と言いました。その人は「バキュームカーが1回200元で清掃してくれますが、不動産管理会社は緊急でないと催促しないので、バキュームカーは来ない」と笑いました。糞便の問題を考えている期間中、別の建物の1階の住人が「私の家の排水溝は1年に何回も糞便を排出します。ある朝起きたら、リビングの床に糞便が散乱していました。ソファを外に運び出し、午前中ずっと掃除をしました。真冬の時期だったので窓を開けて臭い匂いを放ち、とてもつらい思いをしました。1階に住める人はにおいに耐えられる人だけです」と言いました。数日後、土木・建築に詳しい人が「建物の前に二つの(水洗便所用の)浄化槽を掘ると、もう一方の側の負担も軽くなり、この問題は解決します」と言いました。私は「それなら政府に対して問題を報告すればいいのですか?」と言いました。その土木・建築に詳しい人は「これは予定外のことですので、誰が費用を出すのでしょうか? 役人の視点から見れば、これはどうでもいいことではないでしょうか?」と言いました。

 (続く)

 
(中国語:https://www.minghui.org/mh/articles/2023/6/3/460939.html)
 
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