「国際失踪者デー」から、強制失踪について考える
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 【明慧日本2020年9月23日】毎年8月30日は「国際失踪者デー」(International Day of the Disappeared)であり、監禁され、連行され、強制失踪(国家による不法な拘禁)の被害者達のための日である。2010年末、国連は「強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約」を採択し、強制失踪の被害者の司法手続き及び賠償の権利と家族の知る権利を保障するためである。

 中国の人権を長く注目してきた読者は、「被失踪」(失踪させられる)という言葉についてよく知っているはずである。残念ながら、現在の中国国内では誰もが「被失踪」の危機に直面している。例えば、中共ウイルス(武漢肺炎)が発生した時、多くの人は真実の感染情報を広めたことで、次から次へと中国共産党(以下、中共)の関係者らに脅され、拘束された。感染が蔓延している現場に行き取材した記者たちが「被失踪」、扉を壊して侵入してきた警官らに連行された。中共はウイルスを抑制することができず、真実の情報を広める国民を抑えている。

 アメリカのフォックス・ニュース7月10日の報道によると、香港共衛生学院ウイルス学と免疫学の専門医師・閆麗夢(えん れいむ)博士が取材を受けた時、米国へ亡命したのは中共ウイルスの真実を明らかにするためだと話した。同博士は、中共が武漢肺炎を発表するずっと前から知っていたと確信しているが、もし、中国でこのことを話せば実刑判決を宣告されるか、「失踪させられ殺害される」可能性もあると語った。

 中共の迫害を自ら経験したことのない人は、中共の邪悪さを想像することができない。中共は常に高圧な手段で情報を封鎖し、人々に恐怖の中で生活させているため、国民は真実の情報を知ることができず、敢えて聞こうとしなくなっている。昨年、香港での「逃亡犯条例の改正案反対」デモでは、現地の抗議者の「被飛び降り」、「被自殺」、「被失踪」事件が頻発した。この中から、全世界は中共の邪悪な本質をはっきりと見抜いた。ビルからの「飛び降りる」、「自殺」、「失踪」になぜ「被」を付けるのだろうか?  この謎を私たちは知っておかなければならない。

 「被失踪」といえば、1999年以降、中国の市場に大量の出どころ不明の臓器が出回っていることが大きな注目を集めている。その年から、中共は大規模に法輪功学習者を連行し始め、江沢民派が洗脳、拷問、虐殺などの手段で、学習者に「真・善・忍」の信念を放棄させようとした。中国の各刑務所と労働収容所では学習者に対する採血などの異様な身体検査が行われ、一方で大勢の学習者が失踪し、つまり「被失踪」という事実が人々に疑問を感じさせた。

 2006年3月初旬、中共が蘇家屯を含む少なくとも36の強制収容所で、法輪功学習者の臓器を生きたまま摘出した残虐な行為が、海外メディアに報道された。多くの人権団体と国の議会はこれらの犯罪行為を非難したが、国際社会の主流メディアはほとんど報道しなかった。なぜなら、中共による法輪功への迫害は、当初の公然の弾圧から地下操作に入り、秘密裏に連行、拘禁、不当な裁判で実刑判決を下し、拷問を加えるなど、表面上ではそれほど目立たないため、間接的に多くの人々を惑わしたからである。

 独立調査員デービッド・キルガー氏(David Kilgour)氏、デービッド・マタス氏(David Matas)氏、イーサン・ガットマン氏(Ethan Gutmann)の3人が、2016年6月に発表した報告書によると、中国での臓器移植件数は年間6万~10万件と推定されており、中共が公表した年間1万件を大きく上回っている。中共が法輪功を迫害して以来、中国では驚くべき数の臓器移植が行われており、その結果、多くの学習者が命を失ったことが示されている。

 スピード移植を前提とした移植ツーリズムは、近年、驚くべきことに中国で巨大な利益をもたらす新産業になった。命を救う病院で、中共と江沢民派による大量虐殺の罪が隠されている。今年1月から、「追跡国際調査」(法輪功迫害追跡国際調査国際組織WOIPFG)が、学習者から臓器収奪の疑いのある中国本土の医療関係者を対象に、電話による追跡調査を実施した。入手した証拠によると、武漢肺炎が全世界に蔓延している状況下でも、中共は学習者からの臓器収奪を依然として続けており、一度も止めていないことが分かった。重慶医科大学附属病院、安徽医科大学第一附属病院、広西人民病院などの武漢肺炎の指定病院を含めて、各病院での移植事業は止まることなく、医者は通常通り移植手術を行っている。

 中共が国家の全力を傾け国民の臓器を摘出していることは、信じ難い衝撃的なことである。「殺しても責任を負わず、自殺とみなす」、「身元を確認せず、直接火葬する」という迫害政策の下で、中共は臓器摘出の疑惑を否認し、近年、死刑囚臓器の使用を止め、新たに臓器提供制度を導入したと主張し、国際社会の注目を逸らそうとしている。

 学習者が粘り強く迫害の実態を伝え続けるにつれて、中共による法輪功に対する数々の中傷や、隠していた犯罪事実が次々と明らかになった。学習者からの臓器狩りの事実は、権威ある国際誌『自然』のウェンディ・ロジャース(Wendy Rogers)教授と弁護士ジェフリー・ニース(Geoffrey Nice)氏、『BMC医療倫理』の学者と専門家によって認められた。さらにWOIPFGが収集した綿密な証拠により、中共は法輪功への迫害事実を隠すことができなくなる。

 中共による法輪功への迫害、臓器狩りの犯罪行為は、人間性と良知を消滅する大災難であり、人間の道徳基準を破壊した。カナダの人権弁護士デービッド・マタス氏によれば「この地球上にかつてない未曾有の邪悪な犯罪だ」とされ、国際人権条約に厳重に違反し、長年にわたり国連、米国議会、欧州議会が大きな関心を寄せている。臓器狩りの証拠が世界各地で多数暴露されるにつれ、各界に大きな衝撃を与え注目を集め、多くの国の国会議員がこの非人道的な犯罪に対して憤慨と非難を表明した。

 2005年のニューヨーク・タイムズ紙のある記事は、中国の労働収容所はまさに「法の外にある場所」であり、法律の権限を超える特権と闇があると述べた。さらに多くの凶悪な犯罪が労働収容所や留置場、刑務所に隠されている。 虚言と暴力が影のように常に付きまとい、国民は中共が撒き散らした嘘の霧に巻き込まれて、真実の情報を知ることが難しくなっている。

 法輪功学習者は「真・善・忍」を遵守して良い人を目指しており、残酷に迫害されるべきではない。人権は普遍的な価値観であり、現代の文明社会の中で「失踪させられる」事件を許すわけにはいかない。これらの人間性のない臓器狩りの犯罪は、全体主義の赤い壁の中でしか隠れることができない。迫害に加担した中共の各階層の官員、610弁公室、公安、国内安全保衛部門(法輪功迫害の実行機関)などの関係者を含めて、将来、法の裁きと厳罰の下で、許されぬ罪を償わなければならない。

 古来、善悪にはそれぞれ報いがあることは道義であり、悪事を働く者は逃れることができない。来年の「強制失踪の被害者のための国際デー」までには、この残虐な迫害が終わり、「被死亡」、「被失踪」など想像を絶するような現象が永遠に起きないよう望んでいる。

 
(中国語:https://www.minghui.org/mh/articles/2020/9/1/411233.html)
 
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