イベントの手本とされ、捨てられた百歩亭コミュニティ
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 【明慧日本2020年3月10日】(中国=明慧記者)

 コントロールされ、利用され、捨てられる

 新型コロナウイルス感染が広がる初期の頃、武漢の百歩亭は予定通りに「万家宴会」を開催し、その直後に感染がコミュニティで一気に広がり、国内外の非難を受けた。武漢市の百歩亭コミュニティは以前から無名ではなかった。武漢市の周先旺市長は万家宴会を開催する理由について、「百歩亭コミュニティは中国の国民が自治を可能にした、とても良い手本である」と述べた。これを聞いて、百歩亭の万家宴会は現地の住民が自発的に開催したイベントであると、人々は思いがちである。

 一、百歩亭コミュニティの背景

 百歩亭コミュニティは湖北省の武漢市江岸区に位置し、4平方キロメートルの面積がある。ここは全国モデル文明地区、全国の和諧団地建設模範コミュニティ、全国の優秀末端党組織、全国の三八紅旗団体、全国五四紅旗団委員会の模範、全国の末端民兵予備役先進部門など、60以上の項目の国家レベルの賞を獲得した経験を持つという。中国中央テレビ局のニュース番組の2020年2月6日の報道によると、武漢市江岸区の百歩亭コミュニティでは、現在、18万人の住民が住んでいるという。

 百歩亭コミュニティの党委員会は江岸区委員会に直属し、傘下に15の党支部、九つの住民委員会を設置している。

 百歩亭コミュニティの党書記は百歩亭グループ有限会社の理事長・茅永紅である。百歩亭グループは2003年に創立し、党委員会と管理委員会は2000年に設立された。地区内のことは、資源の配置を含めてすべて百歩亭グループと党の指導を受けたものである。

 20年来、百歩亭は絶えず脚光を浴び、数々の賞を手に入れた。ネット上のあるユーザーはこのようにコメントしたことがある。「百歩亭以外に、全国の勉強の手本となるような末端組織の様式、特別な光栄末端組織は、今まで恐らく安徽省の小岡村と江蘇省の華西村しかないと思われます」

 2003年5月15日、中央政治局常務委員の李長春は百歩亭を視察し、2004年6月10日、温家宝首相は百歩亭を視察した。

 鳳凰ネット2013年10月22日の湖北からの報道によると、胡錦涛、呉邦国、温家宝、李長春、周永康、呉官正、羅幹などは百歩亭に対して高く評価したという。中央宣伝部、中央精神文明弁公室、建設部、文化部の4部門は共同で書面を発表し、百歩亭での経験を全国に広めた。湖北省文明委員会、武漢市委員会市政府部門は、「百歩亭花園コミュニティに学べ」の指示を下達した。中央階層の100以上の官員、全国各省・市・自治区、香港・マカオ・台湾の人士、二十数カ国の各界の人士、延べ約70万人が、次から次へと百歩亭コミュニティを見学した。百歩亭コミュニティは「全国モデル地区」として、「中国社会の縮図」、「武漢の人文風貌の窓口」となった。

 二、キャンセルのできない万家宴会

 「万家宴会」は百歩亭コミュニティの「ブランド」イベントで、各家族が料理を作って提供し、旧暦の大晦日の1週間前(旧暦23日)に皆が団欒して食事をし、今まで20年間続いている。にぎやかで大規模な食事をする場面、町内の互いに助け合う風景、政府と住民の友好的な雰囲気、ある程度では真実だと言える。その一方、万家宴会はキャンセルすることが出来ないイベントで、政府に協力するパフォーマンス・ショーでもある。

 万家宴会の後に感染が拡大した。コミュニティ内の住民はネット上で自分の状況を流した。本人が無理やりに料理を作らさせ万家宴会に参加させられたが、感染が蔓延した後、地域の指導者は顔を出す勇気がなく、基本的な衛生管理と消毒はほかの団地にも及ばないものだという。

(写真メッセージの訳文:「彼らは必ず責任を負わなければなりません。当初、一戸一戸をノックして料理を作って欲しいと回った時、私は3回も断ったのに、結局、母親を掴んでやはり参加してほしいと言われ、家に党員がいるから、なおさら政府に協力すべきと言われました。母親は仕方なく3品の料理を作って持って行って、すぐに家に戻り各自隔離しました。彼らはまた多くの一人暮らしの高齢者を呼んで来て、奥の方で一緒に食事をさせました。業績のために、無理やりに事情を知らない住民に協力させたから、仕方がないでしょう」

 「行列に並んだ原因を教えます。百歩亭は万家宴会の事件でネット上の敵となったため、百歩亭グループの指導者たちはみんな隠れて顔を出さなくなり、政府に援助を求める勇気もなくなりました。ほかの地区では無料の野菜とマスクは配送されたが、百歩亭は責任者が誰もいないため、住民は自ら出かけて購入しなければならず、区内に死者が出たにも関わらず、消毒する人さえいなくて、買い物担当者はなおさらのことです」)

 2020年1月18日、武漢百歩亭コミュニティでの万家宴会では、4万人余り家庭から1万3986品目の料理が提供された。一つの主会場と九つの分会場があり、地区内のつの住民委員会はまた棟区、片区、苑区、社区などの宴会を特別に設け、そして一人暮らしの年配者たちを呼んで招待した。

 地元の中国共産党メディア『楚天都市新聞』によると、午前8時頃、百歩亭の党サービスセンターでは人波ができ、各区の住民たちが心を込めて作った料理は、きちんと展示台に並べてあった等々、また、百歩亭では「武漢の最も新年を味わう場所の一つである」と報道した。

 万家宴会の中で、テーマの料理が多く展示され、その中に「新中国創立70周年祝賀」のテーマ料理や、「武漢軍人運動会試合料理」、党に忠誠を表し、党の功績を称える料理があった。

 イベントが終わって、新型コロナウイルスの感染が拡散した。「最も新年の味わいがある」は事実上では「最も党によって被害を受けた」ことになり、コミュニティ内の住民たちはネット上で自らの援助を求めるしかない。コミュニティのスタッフ・許志さんはメディアの取材に応じ、「18日の時、武漢はまだ封鎖されていませんでしたが、内部からいくつかの情報が入ってきて、封鎖すると聞きました。しかし、宴会は平常通りにやりました」と話した。今、この話を聞いてなおさら考えさせられる。

 三、万家宴会の後に 感染は地域中で蔓延する

 1月18日の土曜日の万家宴会の後、百歩亭コミュニティでコアごと集中的に熱が出る症状が現れ、肺炎の感染が拡散した。

 2月4日、武漢百歩亭コミュニティの住民はスーパーの前で長い列に並んで、無料の野菜を受け取った。このようなやり方は引き続き交叉感染のリスクがあると、ネット上で心配の声があった。

 2月9日、絶望に陥った百歩亭の住民はネット上で救助を求め、「当局は感染の真相を覆い隠し、諦めて百歩亭を捨て、物資の供給がありません」と事実を公開した。

 2月13日、中国共産党新華ネットは、百歩亭コミュニティのある住民委員会の関係者・江強(仮名)の話を引用する形で、百歩亭の感染状況を報道した。

 江強「1月初め、肺炎の情報を聞きました。しかし最初は『防ぐことも抑えることもできる』と公表し、あとになって『人から人への感染も排除もできず』と変わった。万家宴会の3日前(1月15日)に、私達は住民委員会に万家宴会をキャンセルした方がいいとしたが、役に立たなかった」

 江強「2月4日まで私達の住民委員会では病院に送った患者は42人ぐらいで、大部分は確定診断を受けておらず、核酸測定の結果は陰性を示す人もいた。すでに入院した患者、隔離した患者、死亡した患者はすべて名簿に入っていない。私達が病院に搬送した患者は、7人を隔離し、3人は死亡した。死亡した人はみんな確定診断を受けていない。私達が搬送した患者の中に、3人が入院した。他のスタッフが搬送した患者は、私の知っている限り5人が入院した。恐らく私達が把握できていない患者もおり、隠して報告しなかったり、治療を受けず家で我慢したりする人もいる。最後に我慢できなくなり、ようやく電話をかけて数日前からずっと熱があるとの事情を話してくれた。何で早く言わないのかと聞いたら、もしこの病気ではなかったら、病院で感染したらどうするのかと答えた」

 「武漢百歩亭の管轄区域内の安居苑、百合苑の関係者はグループ内の送信で、2月4日まで感染者の部屋情報を公開した。そのデータによると、安居苑の55棟ビルの中に33棟の住民は発熱し、百合苑の36棟ビルの中に17棟の住民は発熱したことが分かった。その中に、安居苑A区は12単元、B区は8単元、C区は8単元、D区は7単元+403棟の全棟がある。百合苑は20単元+208棟の全棟がある」

ネット上で流された2月4日、武漢百歩亭の住民が行列に並んで、無料の野菜を受け取る写真

 四、百歩亭コミュニティは捨てられた 

 ある武漢のユーザー張さんはこう書いた。「政府は百歩亭を放置し、現地区の指導者は自分の官職を失わないように、早速ここを封鎖して構わないようにした。あちらでは九つのグリッドがあって、1グリッドあたりおよそ4000世帯が住んでいる。しかし、1日あたり、たったの1人しか感染者を明らかにしてはならない」

 また、ユーザー名「野孩子hanniblo」は救助文の最後には、「後の湖大通りは毎日物資の補給があるようですが、百歩亭コミュニティは何も補給がありません。私達の百歩亭の住民は絶望の中にいます」と書かれていた。

 フェイスブックのユーザーChenJueは次のように書いた。「どれぐらいの人々が政府を信じて、感染して死んでしまったのでしょうか! 公然と8人を(最初のこの情報の通知者)否定したため、多くの国民は政府を信じて安全だと思い込み、そして感染して死亡しました。これが(中国共産党)政府を信じた代価です」

 「(中国共産党)政府を信じる代価」こそが、百歩亭模範コミュニティの不幸に遭った根本原因です」

 五、状況が引き続き悪化した場合に、どうすべきか

 武漢の封鎖はすでに1カ月以上経った。この1カ月の中で中国と世界各地で発生している新型コロナウイルス感染の状況から、いくつかの重大で冷酷な事実に気づいた。

 1)中国共産党は国内外に対して嘘をつく癖がある。1人が死ぬのは大したことではなく、それが数十万人であってもただの数字でしかなく、中国共産党は政権を維持することだけを重視するだけである。

 2)過去20年間、中国共産党が法輪功を迫害する中で、中国共産党に追随し、中国共産党を信じ、法輪功への迫害をあおり立てた国家と個人を含めて、皆感染する潜在的な危険性が存在する。

 3)感染に対して、科学者と医療関係者は努力しているが感染を緩和し、治愈する能力があるとは限らず、各国の政府も努力しても対抗できるほどの十分な人力、財力と医療システムがあるとは限らない。

 それでは、感染の状況が引き続き悪化した場合、あなたはどうすべきかを考えたことがあるのか?

 (1)手元のお金を使い尽くして、銀行からも引き出せない場合

 (2)感染を怖がるため、人と人の長時間の接触を避けたい時、生活と仕事に影響を及ぼす場合

 (3)今までの日常生活のすべて、例えば工場、農物産、飲食サービス、医療・保健、都市の環境、廃水やゴミ処理、公共交通、物資の運送、大学・高校・中学・小学校等など、すべての機能が働かなくなり、麻痺状態に陥り、街で突然地面に倒れた患者の遺体を収容する人すらいなくなり、あなたとあなたの家族はどうしたらいいのか?

 ここで焦らず、望みがまだある。

 六、参考のために二つのストーリを紹介する

 1、蜘蛛の糸の話

 佛教の中にこのような物語がある。以前、よく悪事を働く者がおり、名前は乾達多(カンダタ)という。ある日、彼は歩いていた時に1匹の蜘蛛を見かけ、もう少しでその蜘蛛を踏み潰すところだった。しかし突然、乾達多に小さな慈悲の心が現れた。「このごく小さな蜘蛛だが、俺はこの蜘蛛を踏み潰すまい」と思い、そこで前へ大きく一歩またいで、蜘蛛の命を救った。

 乾達多はきわめて凶暴で悪い事をやり尽くしたため、死後地獄に落とされた。地獄の中で苦しめられていた時に、突然、空中から1本の針のように銀色に光っている細い、細い糸が現れた。乾達多はまるで大海の中で一そうの救いの小舟が来たように思い、急いで蜘蛛の糸を掴んで登り始めた。力の限りを尽くして上へ登って、この恐ろしい地獄から一刻も早く脱出したいと思った。

 登る途中でふと振り返って下を見ると、たくさんの地獄の衆生達も彼の後ろから登って来ているではないか。こんなに細い蜘蛛の糸は皆の重さに耐えられないだろうと思い、万が一この蜘蛛の糸がプツッと切れたら、俺は永遠にこの地獄から抜け出せないぞと、乾達多は考えた。そこで、彼は後ろの人達を次から次へと蹴り落とした。その時、蜘蛛の糸は切れてしまい、乾達多は仲間と一緒に、元いた暗くてもがき苦しんでいた奈落の底まで真っ逆さまに落ちて行き、あの地獄の苦しみを再び受けなければならなくなった。

 乾達多は僅かな善の一念で、あの地獄の苦しい境遇を離れることができ、新たな生命を得られるはずであった。しかし、その後、悪の一念が浮かんだのが原因で、再びあの苦しい奈落の底の地獄に落とされたのだ。これからもわかるように、 生きるか死ぬかの生死の安否は善と悪の一念の違いによるものだと言える。

 2、紅眼の石獅の物語

 昔、ある村人の道徳がとても滑落して堕落し、神様はこの村を壊滅させようとされた。そこへ1人の菩薩さまが現れて村の中の善良な人を救いたいと思われ、村人にもう一度生きる機会を与えられた。そこで菩薩さまは世に下り、物乞いの姿になって家ごとに、食を求めて訪ね回った。しかし、誰もが一口のご飯さえ与えてくれなかった。

 菩薩さまはこの村の出入り口で、佛さまに線香を立てている1人のおばあさんを見て、近くに行って食を求めた。おばあさんは困った表情で「この茶碗1杯分のご飯しかないので、あなたに半分を分けて、この半分を佛さまにお供えします」と言った。菩薩さまは出発する際に、村の出入り口の所にいる2匹の石獅を指差しながら、「この石獅の眼が赤くなったら大洪水が来るので、あなたは一刻も早く山の上に逃げなさい。このことをしっかりと覚えておきなさい」と教えた。

 おばあさんはすぐさまこの情報を村人に教えたが、結局は、全ての村民はみな信じず、おばあさんに皮肉を言ったり、あざ笑ったりしてバカにし、「この石の獅の目がどうして赤くなるのか?」と罵った。

 ある日、村の数人のならず者は、おばあさんに意地悪をしようと思い、赤い染料で獅の目を赤く染めた。おばあさんは赤くなった獅の目を見て、焦って村中の人々に叫んだ。「早く逃げて下さい! 大洪水が来ます」と叫んで回った。しかし村人は騙されているおばあさんを見て、腰をかがめるほど大笑いして聞き入れなかった。それでもおばあさんはひっきりなしに村中を叫んで回ったが、誰一人として聞いてくれる者はいなかった。おばあさんはたった1人で山の上へ走るしかなかった。その結果、大洪水がみるみるうちに押し寄せて来て、上昇し、一瞬の間に全村落は消え失せ、見渡す限り大海原となり、もう人々の笑い声も聞こえなくなった。

 善良なおばあさんは菩薩の警告を耳にし、覚えておいた。村人は善の一念で発したおばあさんの警告をバカにし、嘲笑して愚弄した。悪の念が生じた者が悪ふざけで獅の目を赤く染めた。しかし最後には、菩薩の警告が本当になって大洪水が起こり、善良な人だけが生き残り、凶悪な者らは次々と命を落としていった。

 過去20年余り、法輪大法の学習者は絶えず法輪功への迫害の真相を伝え、「法輪大法好、真・善・忍好」(「法輪大法は素晴らしい、真・善・忍は素晴らしい」)の9文字を人々に教え、伝えてきた。人々にこの道徳が滑落した乱れた世の中で良心を取り戻し、善と悪の前で善を選択するように、そして、大きな災難を前にして中国共産党の犠牲にならないように、絶えず、人を救ってきた。

 
(中国語:https://www.minghui.org/mh/articles/2020/2/24/401607.html)
 
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