【明慧特別記事】誤った愛
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 【明慧日本2020年5月20日】

 「誤った愛」とは、愚かな愛、間違った愛を意味する。

 「愛すること」を「憎むこと」と教える

 愛は人類にとって永遠に変わらない感情の一つである。しかし、中国共産党(以下、中共)は「愛すること」を「憎しみ」として人々の心に植え付けた。

 武漢在住の作家・方方さん(64歳)が書いた『都市封鎖日記』は、中国の「愛国者」から猛烈な批判と攻撃を受けた。方方さんは、武漢が封鎖されて以降の自らの運命、武漢の惨状、市民の苦しみ、医療従事者の恐怖、中国官僚体制の無責任さとでたらめさを赤裸々な日記として世界に明らかにし、中共の高官の責任を厳しく追及した。

 「愛国者」からの圧力と攻撃に対して、方方さんは「すべてが真実で、嘘ではありません」と明言した。そして『都市封鎖日記』が間もなく海外で出版されますが、「今日も私に殺害予告がありました。私にはどうすることも出来ませんが、彼らの背後に一体誰がいるのか、それを知りたいのです」とコメントした。

 中央テレビ局の元ニュースキャスターは中共の卑劣な行為を暴露した時も、「私は1週間で150社以上の政府系メディアから攻撃を受けた。政府系メディア以外では、ならず者からの攻撃もあった。彼らは金さえ払えば、なんでもやる。彼らには知識人の大半もお手上げだろう。なぜなら、如何なる弁解も無意味で、彼らと罵り合戦をするしかない。もう一つのグループからの攻撃は、ネットで『ゴミ人間』と呼ばれている人達からだ。彼らと闘おうとするならば、二つのことを覚悟する必要がある。一つは停戦がないことだ。彼らはあなたに一生付き纏うだろう。あなたが何をしても彼らは妨害し、あなたの足元を崩してしまうだろう。もう一つは、自分の品格とプライドを棄てて汚い言葉を使わなければならないことだ。なぜなら、それがその戦場の武器だからだ」と述べた。

 中共は真相を覆い隠すため、真相を明らかにした人達に向けられたこうした憎しみを、崇高な「愛国心」として中国の人々に植え込んだ。

 二.愛は憎しみを正当化してはならず、中共は中国ではない

 文化は、国の重要なアイデンティティである。中国の伝統文化は長い歴史の過程で、儒教や佛教、道教と融合してきた。ところが中共は政権を奪取して以来、中国の人々に無神論やマルクス、レーニン、毛沢東の闘争理論を無理矢理に注ぎ込んだ。しかしその中共は中国を代表しているわけではなく、中国とは全くの別物である。

 中国の伝統文化では、人としてのあり方や国の根本として、道義という理念を重んじてきた。人は物事に対する考え方を変えることはあっても、人として守るべき原理原則を変えることはできない。しかし中共は、愛と憎しみを必要に応じて即座に変えてしまう。中共によって、反米感情を煽り立てられている多くの中国人は、反米こそ最高の愛国心と見なしているが、中共がかつて米国を救世主のように崇めていた事実は知らない。

 政権を奪い取る前の1943年と1944年、中共は米独立記念日の7月4日の『新華日報』(※1)に2年連続の社説で、米国の民主制度を大いに賛美した。「幼い頃から、我々は米国がとても親しみやすいと思っていた。それは米国が中国を占領したことがなく、侵略したことがないことも理由の一つである」

 「抗日戦争以来、米国からのすべての寄贈と援助に感謝している」、「太平洋は、我々の間の友情を隔てることができないと信じている。苦難の中、我々は西側に思いを馳せる……」、「7月4日万歳! 民主主義の米国万歳!」と社説に掲載された。人々を騙す目的が達成できさえすれば、中共は民主主義の旗を振りかざすことを厭わないのだ。そのため、当時、多くの愛国青年は革命の聖地である延安に赴いた。1949年以降、多くの有名な知識人は中共の人々を騙す甘言を信じ、中国に留った。しかし、彼らのその後の運命は想像もできないほど悲惨なものだった。

 中共が政権を奪い取った僅か3年後、金日成が仕掛けた朝鮮戦争を支援するため、中国は朝鮮の国土で米軍をはじめとする国連軍と戦った。この侵略戦争を支援した「抗米援朝」(米国に対抗して北朝鮮を支援する )は「正義の戦い」と美化され、かつての救世主だった米国は突然「邪悪な米国帝国主義」となった。

 1950年10月、中共は「中央委員会の時事宣伝に関する指示」を発表し、「断固として親米思想と米国を恐れる誤った心を撲滅し、米国の帝国主義を敵視し、軽蔑する態度を育成しよう」とした。

 中国の地方の農村地域では、もともと米国に特別な感情はなかった。しかし、中共は農民の反日感情をうまく利用し、それを反米感情に誘導した。「米国の帝国主義は、朝鮮で日本軍の『新三光政策』(※2)を実施した」とか、「世の中の帝国主義は、すべて人を搾り取るものだ」、「米軍は日本軍のかつてのやり方を踏襲している」、「すべての苦難と罪悪の元凶は最大の敵、米国帝国主義だ」と大々的に宣伝した。

 当時の『文匯報』は、以下の常軌を逸した詩を掲載した。「過去の債務を返済していないのに、新たな血の債務を作った……それは誰だ? 誰だ? 誰だ? それは米国帝国主義の侵略者だ! 朝鮮人民を殺害しているのは誰だ? 中国人民を殺害しているのは誰だ? 世界の人々や米国国民を殺害しているのは誰だ? それは米国帝国主義の侵略者だ!」

 このような大規模な洗脳教育により「米国帝国主義は邪悪の元凶である。北朝鮮に義勇軍を派遣するのは正義の戦いのためだ」という考えを人々に植え付けた。こうして、朝鮮戦争では100万人もの中国兵士が従軍し、戦死することとなった。

 憎悪をもたらし闘争を挑発するやり方は、今日に至るまで中共に用いられている。中共が煽り立てたナショナリズムは、はっきり言えば憎しみであり、変異し誤った愛である。共産主義の価値観に愛というものがなく、憎しみと偽善しかないからだ。

 愛は憎しみを正当化するものであってはならない。考えてみてほしい。自分の妻を愛するなら、隣に住む善良な女性を憎まなければならないのか? 自分の両親を愛するなら、他人の両親を誹謗しなければならないのか? そのような愛は本当の愛と言えるのか? 米国を憎み、日本を憎み、民主主義の西側諸国を憎むことは、本当に愛国心なのか? 自分を愛するには、他人を憎むことが必要なのか? 憎しみで人類を引き裂いているのは、いったい誰なのだろうか? 

 三.中共の偽物では本当の愛を買えない

 中共は最近、新コロナウイルスが世界中に蔓延していることを契機に、医療物資を援助する支援外交を進め、愛をばら撒くパフォーマンスを行なった。

 しかし、その品質が悪いため、国際社会から返品されたり、使用差し止めの動きが相次いでいる。さらに、感染症を世界中に拡散させた中共政権に賠償金を請求し、責任を厳しく追及する国際社会からの声も高まっている。これに対し中共は自国民に「世界は中国を憎んでいる」と虚偽の宣伝を行なった。

 自由アジアラジオ放送局は4月12日に「ヨーロッパ各国は中国の医療製品に欠陥があると指摘している」と発表し、「中国から輸入した350万組の新型コロナウイルス検査用キットの品質が悪いため、イギリスの衛生省はそれらが使い物にならず、代金の返金を求める方針を発表した。チェコとスペインは、中国から送られて来た検査キットの信頼度が30%しかないと発表し、オランダ政府は3月末に中国から購入した60万枚のマスクが品質基準を満たしていないためすべて回収し、中国に送り返したと発表した。スロベニア政府は中国の100万個以上の検査キットの信頼性が低すぎ、直ちに処分すべきだと発表し、アイルランド政府は先週、中国から輸入した総額2億ユーロ近くの個人防護用品の中で、20%が使えないと発表した」と報じた。

 これらの情報はいくつかのことを示唆している。(1)中共は各国に医療物資を無償援助するのではなく、販売している。(2)中共は多くの国に品質の悪いもの輸出している。(3)各国から返品と返金を求められている、ということだ。中国の人々が淘宝網(中国の最大オンラインモール)で偽物を買った場合は返品できるように、海外でも、特に感染被害が深刻なこの時期、購入した医療物資が不良品であるならば返品することができ、それは合法的な権利である。それは憎しみとは何の関係もなく「世界は中国を憎んでいる」は不合理である。

 4月9日の『ニューヨーク・タイムズ』は「最近、外国の指導者、中国の友好国であるイランの指導者でさえも、中国が公表した感染者数と死亡者数を疑問視している」と報じた。

 今年1月の初め頃、中国政府は最初の新型肺炎が「予防可能であり、制御も可能」としていたにも関わらず、1月23日には突如、都市封鎖に変更した。その後、米国政府は13人の世界トップクラスの専門家チームを武漢に送り、ウイルスの原因究明に協力しようとしたが、中共に何度も拒否された。2月になり中共はようやくWHOの専門家を受け入れたが、武漢の医療現場には入らせなかった。一方で1月23日までに500万人が武漢から脱出し、うち数十万人は海外に赴いていた。その後、毎日公表された感染者数や死亡者数は低く操作されたもので、国際社会に誤った情報を与え、予防や対応を困難なものとしてしまった。中共はこれらのことに対して責任を取るべきではないだろうか?

 中共は現在、国内の感染ペースが鈍化しているのを利用し、自らは国際社会における火消し役を演じ始めた。これは当然ながら世界から反感を買った。『ニューヨーク・タイムズ』は「ヨーロッパのある外交官は、中国のヨーロッパに対する援助には地政学的野心が隠されていると警告し、あるブラジルの高官は、今回の感染症の大流行は中国が世界を支配する計画の一部であると仄かした」と報じた。

 四.愛は尊厳を求め、欺瞞を拒否する

 4月4日の清明祭に、中共は感染症で命を落とした犠牲者を追悼する式典を行なった。ネットでは、それはイタチがニワトリを哀悼するようなものだと冷ややかだった。歴史を振り返ってみれば、中共が政権を奪取して以来、政治運動における死亡者数は毎回のように隠蔽され続けてきた。土地改革当時の地主の殺害から、反革命鎮圧運動、3年の大飢饉、文化大革命、6月4日の天安門広場での虐殺、法輪功に対する迫害等、中国では、これらで亡くなった人の数は永遠の秘密である。2003年のSARS、2008年のブン川大地震、そして、今回の中共肺炎の死亡者数もすべて謎のままである。

 3月23日、武漢当局は遺族に遺骨を引き取るように連絡した。SNSには武昌葬儀場の前に出来た長蛇の列の動画が投稿され、「携帯電話で写真を撮ろうとしたら、すぐに阻止された」との解説音声も一緒に流れていた。武漢には葬儀場が8箇所あり、1個所が1日500の骨壺を引き渡すとするならば、清明祭までの12日間に、すなわち、12日間×8×500=4万8000人という計算になる。これは簡単な試算に過ぎないが、実際の死亡者数は誰にも分からない。中国政府が公表した死亡者数は僅か3000人強しかない。ならば、残りの4万5000人は政府がどのような名目でカウントしたのだろうか? 

 世界に死亡者数を公表するにあたり、その数字は愛国式処理法で処理されている。残りの4万5000人はカウントされていないのだ。

 4月4日、ボイス オブ アメリカ(VOA)の中国語版ツイッターでは、「息子よ、お父さんは死にたくない……武漢の監視下の葬儀と死者の尊厳」と題した動画を公開した。「もうすぐ清明祭になるが、張軍さんは未だに父親の遺骨を引き取っていない」との字幕が表示された。張軍さんの父親は2月1日に中共肺炎で亡くなった。彼はVOAの取材に対し、「武漢の規定によると、中共肺炎の遺族は勤め先、あるいはコミュニティ職員の同行を伴って、初めて遺骨を引き取ることができる。そして直ちに埋葬しなければならない」と語った。「自分が監視されているように感じたので、職員の同行を拒否した。父親の最後の尊厳を守るためだ」と彼は語った。

 動画で張軍さんは「納得できない。まるで政治的な任務だ。普通の納骨ではない、治安維持の任務だ」と憤慨して語り、「3月31日、自分が入っている遺族のチャットグループの1人は公安に呼び出され、携帯電話も取り上げられた。その後、チャットグループは解散させられた」と述べた。また張軍さん本人も公安から嫌がらせの電話を5回も受けた。カメラに向かって張軍さんは悲しい表情で「私の願いはとても簡単なものだ。父親のPCR検査の報告書が欲しいだけだ。父はいったい陽性だったのか、陰性だったのか、それを知りたいだけなのだ。父はカウントされないのか? 病院に電話で問い合わせたら、『もう亡くなっているのだから、検査結果は意味がないだろう』との回答だった」と語った。

 動画でもう1人の遺族は、自分も公安から嫌がらせの電話を何度も受けたと語った。彼は警察官に「私達は自分で納骨できないのか? どうしてあなた達に知らせなければならないのか? あなた達には命を尊敬する気持ちがないのか? 同情心がないのか?」、「すでにこのような結果になっているのに、警察官が私達に嫌がらせの電話をかけるのはなぜか? すでに3回も電話があったが、態度がひどい。私達は何か悪いことでもしたのか? どうして、私達を取り締まる必要があるのか? 亡くなった母のために、そして、この私達の街のために、今でも大泣きしたい気持ちだ」と語った。 

 五、中共から遠ざかることで初めて健康と愛を得られる

 3月19日、米国の『ワシントン・ポスト』のコラムニストのジョシュ・ローギン氏は「中国の人々と中共を区別すべきだ」という記事を掲載した。また「中国の医師、研究者、ジャーナリストは命の危険を冒して、ウイルスと戦いつつ、世界に警鐘を鳴らした。中国の人々も中共の厳しい措置の被害者である」、「私達はウイルスを中共ウイルス(CCPvirus)と呼ぶべきだ。この呼び方はもっとも適切だ」と述べた。

 2019年末に発生し世界中に蔓延したコロナウイルスの感染に対し、中共は意図的に情報を隠蔽、偽装した。その結果、中国のみならず世界各国に計り知れない損失をもたらした。中共の歴史を紐解いてみれば、血にまみれた事件が至るところに見受けられる。中共の100年にわたる統治の下では、自然災害は言わば人災であり、自然災害時の官僚による災害、中共による災害は、人類の歴史上、記録的な被害をもたらしてきた。今回の感染症発生の責任を追及する視点からも、中共ウイルスという呼び方は至極当然であり、合理的である。

 ロシアの雑誌『生命と安全』の2003年第3号に「SARSはウイルスを超越」という記事が掲載された。筆者はロシア社会生態学国際研究院の学者、グバノフ・B.B氏である。同氏は、一連の試験と試行錯誤を通じて独特の科学的な結論を導き「ウイルスは、実は精神的・道徳的な情報を内包した生物である。私達はウイルスの生物学的な側面しか分かっていない。現代医学はウイルスの生物学的側面を治療しようとしているに過ぎず、ウイルスを根本から一掃しようとしているわけではない」と述べた。

 また筆者は「いかなる疾病も患者の精神的モラルが崩壊した結果であり、それに患者の肉体の損傷が続く。もし、人の肉体と精神的モラルが共に健全で常にポジティブなエネルギーを発していれば、ウイルスは破壊され、健康を維持することができるだろう。しかし、常に不正なことを考え、そうしたエネルギーを発する人は、たとえウイルスを保持した人がそばを通りかかるだけでも、「偶然に」感染してしまうだろう」と述べた。

 筆者はさらに「人間の脳が活動すると、一種の物質が作り出される。その物質には善と悪の区別がある」とも述べた。

 武漢の中共ウイルスが発生してから現在まで、ウイルスの独特な感染経路が発見されている。つまり、親中国の国々や地域、個人はウイルスに感染しやすいということだ。例えば、被害が最も深刻なアメリカのニューヨーク州には、親中のウォール街の金融界の大物が多くいる。イランは中共の兄弟分であり、イタリアは中共の「一帯一路」に署名した最初のヨーロッパの国である。また世界的に著名なテノール歌手・ドミンゴは中共の前党首の恋人である宋祖英と共演していた。イギリスのジョンソン首相はイギリスがEUからの離脱後、親中路線を推し進めた……。一方、中国に最も距離的に近く、往来が最も多い香港と台湾の感染対策は、意外にも素晴らしい成績を上げた。香港の若者は「逃亡犯条例」改正案に反対するデモを行なった際に、「神は中国共産党を滅ぼす」との看板を掲げ、台湾の総選挙では台湾の有権者が中共に親しい韓国喩候補に「ノー」を突き付けた。

 中共をはっきりと認識して、中共から遠く距離をおこう。そうすることで、私達は本当の愛、健康な体、そして、明るい未来を手に入れることができる。

 ※1 『新華日報』(中共の元の機関紙、1938年1月11日創刊)

 ※2 『新三光政策』(北京語で「殺し尽くし・焼き尽くし・奪い尽くす」を意味する用語)

 
(中国語:https://www.minghui.org/mh/articles/2020/4/14/403808.html)
 
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