食堂のおばあさんの話
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 【明慧日本2014年7月12日】2012年の春、私はある木材工場の料理人に応募してそこの食堂で働き始めました。しかし始めの数日は、管理人と工場に住み込んでいる社員の2人しか食べに来なかったので、なぜ食堂で食事をする人がこんなに少ないのかと不思議に思いました。

 管理人さんは私の思っていることが分かったようで、「食堂はもう3、4回閉めたり開いたりで、毎回長く続いていません。なかなか難しいですよ」と言いました。

 社長も私に「多人数の食事を作るのは難しく、以前の料理人はみな従業員たちにいじめられて辞めてしまった。誰かがいじめに来たら上に報告してください。彼らの言いなりにならなくていいです。食べるか否かは彼らの好きさせてください」と言いました。

 話を聞いて私は心細くなりましたが、来てしまった以上、もうやるしかないと思いました。

 会社の規則により、社員たちの食事は食堂側で決めることになっており、食事代は月末に給料から控除されます。毎日自分で材料を買出しに行き、買ってきたらまず会社が指定した人に重量を測ってもらい、詳細を書いてサインしてもらってから、経理のところへ持って行って経費を計算することになっていました。買ってきた材料を2人の手を通さなければならず、測る人と経理の人を探さなければいけないので、とても時間がかかりました。

 私は初日から毎日朝一番に市場へ行き、田舎から出荷された農家の新鮮な野菜を買い、価格も比較的安かったので油も肉も良いものを買って、饅頭も安くておいしいものを選びました。

 たまに寄り道してパン屋に行き、自分の家の分の饅頭を数個買って持ち帰りますが、お金を払う時、店の女将さんは「食堂の饅頭と一緒に計算すればいい。2、3個くらい自分で払う必要はないよ」と言いました。また「今の料理人たちは賄賂がとても多く、誰も少ない給料に頼らない。友人が会社の食堂で料理人をやっており、毎日家にたくさんの食べ物を持ち帰って、家は年中魚と肉を買う必要がない」と言いました。

 「私は大法弟子なので、『真善忍』を修めているから、そのようにしてはなりません」と女将さんに言いました。

 このように毎日できるだけ心を込めて食事を用意し、できるかぎり食べに来る社員のことを考え、注文を忘れた人や、辛いものを食べられないなどの状況を配慮して、時々自分のまかないも注文を忘れた人に譲り、饅頭しか食べられないことがありました。食事後、社員たちが食べ残したおかずを観察して、なぜ残したのか原因を探して、次からよくできるようにしました。

 見る見るうちに食堂に食べに来る人が増えてきました。月末の決算では、毎食のおかず原価は3元(約49円)ぐらいしかかかっておらず、1元の饅頭を加えても毎食4元ぐらいで済ませます。

 次の月、食べる人が更に増えて、多いときはテーブルも足りないぐらいでした。新しくきた料理人のご飯がおいしいと社内に噂が広がって、会社のお客さんも招待されました。社長もいつもにこにこと励ましてくれて「お姉さん、あなたのご飯は本当においしい。お客さんも褒めているよ!」と言いました。

 間もなく夏がくる時期になり、会社が埋めて保存していた大根の芽も長く伸びてしまい、煮込み、炒めと数回出した後、従業員たちはもう食べたくなくなり、そんなたくさんの大根を買って食べさせるなんてと文句を言い始めました。食べきれないと捨てることになってしまうので、大根包子(訳注:包子(パオズ)は中に具があるものを言い、中に具がない饅頭と区別される)にしたらみんな好きかもしれないが、しかし数十人分の大根包子を作るのは容易ではありません(応募したときに炒め物と饅頭ができれば十分と要求されていた)。しかし社員においしく食べてもらうため、それにあの大根を無駄にしないため、やはり自分が苦労するしかありません。

 翌日早めに食堂に行き、午前をかけて慌ただしく昼食の時間までに鍋数個分の大根包子を作りました。自分も汗だくになりましたが、従業員たちの褒める言葉も絶えませんでした。自分は苦労しましたが、しかし皆があんなにおいしく食べて喜んでくれたので、やりがいがあると思い、連続で数回作ってやっと大根を全部食べ終わりました。

 年末に家の用事があったので仕事を辞めました。数カ月後の朝、市場で会社のある社員に出会い、彼は「お姉さんが会社を離れた後、料理人を一人雇ったが原価が毎食6元まで上がり、しかもとてもまずいです。今、食堂へ食べに行く人はほとんどいなくなってしまい、また潰れそうです。私たちは集まって、やはり法輪功を修煉したお姉さんが一番いい、誰が代わってもあなたのようにはできないと話し合いました。お姉さん帰ってきてください! もし会社が給料を上げないなら、私たち社員が自分の財布から出しますよ」と言いました。

 この話を聞いてとても感動しました。師父が他人を思いやることを教えてくださったから、これらの尊敬を受けたのです。師父に感謝いたします。

 数日後、会社から電話がかかってきて、社長は「お姉さん、皆がお姉さんのことを懐かしがっています。お姉さん帰ってきてください。休みを増やしてあげるし、条件があれば言ってください。私たちはできるだけお応えします」と言いました。

 家の用事がまだ済んでいないため、その日は戻ると返事ができませんでした。しかし数日後、社長は再び電話をかけてきて、それで私は再び会社に戻りました。テーブルの厚いほこりと、地面に散らかっていた割り箸を見て、素早く片付け始めました。私が帰ってきたと聞き、社員たちは喜んで互いに伝え、翌日ご飯を食べにくる人のテーブルは足りないぐらい溢れました。

 今回帰ってきて、私は機会に乗じて賃金を上げてもらうことをせず、皆の気持ちは大法を修煉する私へのものなので、それは値のつけようのないことだからです。今は以前のように毎日黙々と働いています。変わったことと言えば、あの食材の重量を測るはかりがなくなって、買った材料は私自身で詳細を書いて直接経理にサインしてもらえば経費の勘定ができるようになり、測ることが省かれました。

 会社で社員と一緒にいる時間をとても大切にしており、年配の方や若者も私を見たらみんなとても親しんでくれ、事務所の女の子たちは飴やナツメがあると、必ず食堂このおばあさんに持ってきてくれます。交代勤務の2つの班の人は、大体私が伝えた真相を聞いたことがあり、みな大法弟子の私をとても信頼し、分かった後多くは三退(共産党、共青団、少先隊から離脱)して、自分に美しい未来を選びました。

 
(中国語:http://www.minghui.org/mh/articles/2014/6/25/293916.html)
 
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