デンマークの警察が法律違反 法輪功学習者に賠償
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 【明慧日本2018年7月16日】(デンマーク=明慧記者・舒慧丹)デンマークの「警察の違法案件」は主流社会で広く知れわたり、注目された。デンマーク政府はこの案件を「チベットの案件」と称し、2012年と2013年の期間中、中国共産党の前政治局常務委員・俞正声がデンマークを訪問した際、法輪功とその他の団体が抗議に訪れた際に、警官が法の執行に当たり法律に違反した。目下、デンマーク司法調査委員会の調査報告書が公表され、責任はコペンハーゲン警察署が負うべきで、その被害者に賠償をするようにとの結論に至った。

 2016年11月3日、司法調査委員会は第一回目の公聴会を開催し、数人の元大臣、政府部門の責任者、警察署の人員など、計約70人が出席し質疑応答を行った。ヴィリー・ソウンダル前外務大臣、ヤコブ・シャフツ安全局長も出席した。かかわる官員数が多く、官位が高く、国民に広く注目され、前代未聞の反響であった。

 ソーレン・パペ・ポールセン前法務大臣は、2016年6月4日、警察の違法案件は新たに調査継続の必要性がないと発表した。しかし、その3日後状況は急展開を迎え、大臣は6月7日の記者会見の席で「国家警察局は通常のメールを検査した際、大量のメールファイルを発見した」と話した。大臣は「この案件の徹底調査の必要性について、国会議員からの異議がないため、司法委員会で再度調査を始め、それにより新たに発見されたメールファイルの調査を行い、これまでの報告書の疑問点に対して、徹底した調査を行う」と話した。

图1: 二零一三年中共前政治局常委俞正声访问丹麦,两名法轮功学员被带离抗议现场
中国共産党の高官が訪問した際、警官が学習者2人を連行

 詳細な調査により、中国共産党が関わっていることが明白となる

 2012年中国共産党の前国家主席・胡锦涛がデンマークを訪問した際、車列を警備していたデンマーク警察の車両4台が、突然車列を離れて抗議者の前を遮った。2013年、共産党の前政治局常務委員・俞正声がデンマークを訪問した際、法輪功学習者2人が中国で行われている迫害の停止を呼びかけていた際に、黄色のTシャツを着ているという理由で、警官にパトカーに押し込まれ、現場から連れ去られた。

 デンマーク警察が法の執行にあたり、抗議者を阻止するために取られた行動は、デンマーク憲法で定めた、公民が享有する基本的権利に違反した。そのため被害を受けた団体は法的な訴訟を起こし、憲法が公民に付与した権益を守ろうとした。

 司法委員会の調査過程で、上層部からの指令だと分かった。2015年10月2日デンマークのソーレン・パペ・ポールセン法務大臣は、2012年に出した指示の一部を公開した。指示の中で警察当局は示威(じい・威力を示す)して、集会者を中国の国家主席の目に触れさせてはならないとした。

 デンマークのトビアス・スタッドフェルト・ジェンセン(Tobias Stadarfeld Jensen)弁護士は、この違法な案件に詳しい彼は「私は知っていますが、彼ら警官は黄色いTシャツを着ている者は、中国共産党に反対する立場を代表していると認定した。デンマークにおいて、我々はどの法輪功学習者に対しても反対しておらず、私から見れば警官らは一種の非常に特別な指示を受け、中国共産党に抗議する意志を持ついかなる団体も消滅させることです」と語った。ジェンセン弁護士は、デンマークは人々の言論の自由を守っており、このようなことはデンマーク政府がやりたいことではない。ですから中国共産党はこの案件の中で重要な主役を担っていたという。彼は「中国共産党がどう言おうと、彼らはこの案件で重要な主役を担い、かつ彼らはこのデンマークの小さな民主国家にどれだけの圧力をかけたかを現わしています。そのため、私は確信していますが、中国共産党は間違いなく指示を出して2人の法輪功学習者を連れ去らせたのです」と語った。

 デンマーク人民党外交スポクスマンのソレン・エスパーセン氏は、この警察による違法行為について「デンマークでこのような事件が発生することは恥であり、警察官自身の判断でこのような違法なことをするとは思えません。このようにするようにと指示を受けたに違いありません」とコメントした。

图2:丹麦人民党外交发言人艾斯普森(Søren Espersen)
 デンマーク人民党外交スポクスマンのソレン・エスパーセン氏

 アンダース・チベット支援委員会主席は、調査委員会の報告書によると、デンマーク外務省はこのような雰囲気を作り上げ、それは中国共産党の高官の来訪について「必ず成功させる、いかなる間違いも起こしてはならない」と話した。

 法輪功学習者・鮑さんは示威現場で警官により連れ去られた1人で、中国国内で法輪功を学んでいるという理由で、不当に懲役3年の実刑判決を宣告された彼女は「このような行為は中国共産党の指図によるものだと知っていた」と言った。「なぜ私達をその場から連れ去るのか? それは中国共産党がデンマーク政府に圧力をかけ、黄色いTシャツを着ている者を彼らに見させてはならないと言ったからです」と話した。

图3: 法轮功学员鲍女士在抗议现场
中国共産党の高官が来訪した際に、法輪功迫害に抗議する鮑さん

 調査は阻まれ、中国共産党の干渉は失敗 に終わる

 デンマークのテレビチャンネルP1の3月の放送によると、2015年10月に調査委員会を設立した時、関わった警察署のトップはすでに離職し、すべてのメールを削除した。そのため調査委員会は高層部からの指示だという証拠を手に入れることができず、真相解明には至らなかったという。

 司法調査委員会は2年間かけて調査した結果を、2017年12月18日に公表した。責任はコペンハーゲン警察署にあり、中堅管理職の2人は叱責を受けるべきだと指摘した。

 調査委員会はさらに大臣、政府官員、コペンハーゲン警察の高層管理職および安全局が責任を負うべきとも指摘し、証拠が明らかに示された。彼らは少なからず指令に関わったという。デンマーク国民は警察官は上層部からの支持がなければ、軽々しく法律に違反するはずがないという。

 デンマーク人民党外交スポクスマンは「このようなことが発生することは、まさにデンマークの恥であり、私は依然として信じていますが、これは下層部の警察官が起こした事件ではなく、このようにするように上層部から指示されています。彼ら(中国共産党)がコントロールできるのは小さな国で、彼らはアメリカやロシアをコントロールする手立てがなく、彼らがコントロールできるのは小さな国です。デンマークは今まで中国に脅迫されて彼らがやりたいことをやっています。もし中国共産党が誰かと会ってはならないというと、我々はその人に会いませんでした。これは彼らの計画なのです」と話した。

 ケネス・クリステンセン・バース国会議員は「私はこの案件に多くの疑問を持っており、謎が解かれたかどうかは別にして、この案件は終始とても奇怪だと思っています。デンマークの普通の警察が言論の自由に干渉しますか? この案件はとても不思議です。とても残念なのは、調査委員会は石の一つも動かすことができず、我々はとりあえず石を一つ一つ動かすことができるかどうかを見てみたい、もちろん前提には多数の議員の賛成が必要です」と語った。

图4: 国会议员拜特(Kenneth Kristensen Berth)
ケネス・クリステンセン・バース国会議員

 真相は徐々に現れ、立国の精神を堅守すべき

 ケネス・クリステンセン・バース国会議員は「私は世界の国々と貿易を行うべきで、自由貿易は世界にとっても良いことです。もし中国が貿易に条件を付けるようであれば、私達はその取引を止めます。もし、その条件が私達が話したいことを話すことができない、会いたい人と会うことができないようであれば、中国との貿易は止めます。そして我々はインドやブラジル、あるいはロシアと貿易を行えば良いのであり、いつまでも中国共産党に服従してはなりません」と話した。

 また、バース国会議員は「私が思うには、我々はさらに言論の自由がどれだけ大切で、どれだけ重要なのかを改めて認識させられました。実際、このことは妨害されるべきではなく、このようなことがデンマークで再び繰り返されてはなりません。もし中国の現国家主席がコペンハーゲンを訪問するとなれば、同様なことを再び見かけることはないでしょう」と話した。

 学習者の鮑さんは「私は国内にいた時、中国共産党の迫害を受け、拘禁されたり、閉じ込められたりしましたので、自由をとても大切にしています。しかし、考えもしなかったのですが、中国共産党は迫害の手を世界まで伸ばし、デンマークまで伸ばしています。私はこの取材を通してデンマーク政府と国民に告げたいのですが、中国共産党は世界各国に浸透しており、彼らは経済的手段を使って、すべての国に対して圧力をかけています。私はデンマーク政府が中国共産党の醜い真の姿を認識されることを希望し、中国共産党の影響によって自国の立国の精神を破壊してはなりません」と話した。

 デンマークはこの「警察の違法な案件」の被害者に対して、1人当たり2万クローネ(26万円くらい)を支払うという。政府の統計によると示威活動の当日、現場には200人ほどがいたという。司法調査委員会は大量のメールを発見したことで、新たに調査を始めるといい、前回の調査で問われた疑問点を徹底的に解明するという。

 
(中国語:http://www.minghui.org/mh/articles/2018/6/27/370323.html)
 
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