感染症に直面して、民主国家の政府は何をしたか?
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 【明慧日本2020年5月1日】

 中国政府との比較

 中共ウイルス(武漢肺炎、新型コロナウイルス)に対して、多くの民主国家の政府は直ちに緊急支援策を打ち出し、低所得者、中小企業、社会的弱者層を重点的に経済支援を行なった。これは生命を尊重し、国民の福祉を守ると言う普遍的な価値観に基づいた行動である。それに対して、中国共産党(以下、中共)は何をしたのだろうか? 両者を比較すれば、その違いが一目瞭然である。

 一、緊急経済対策を打ち出す

 アメリカ

 2020年3月13日、トランプ大統領は国家非常事態宣言を出し、最大500億ドル(約5兆4000億円)の連邦政府の資金を活用できるようにした。その前の3月6日、大統領は83億ドルの緊急補正予算法に署名し、ワクチンなどの研究開発費を確保した。

 連邦政府は一早くも保険会社と協議し、大規模なウイルス検査費用の実質無償化にする契約を結んだ。そして、Google、ウォルマートなどの会社と協力し、全国範囲で駐車場を開放し、人々が車に乗ったまま、ウイルス検査を迅速に受けられるように制定した。

 3月18日、大統領は議会が可決した「家族第一コロナウイルス対応法」に署名し、30億ドルの連邦政府への支援計画をスタートさせた。当法案は、健康保険に加入していない人も含むすべてのアメリカ人が、ウイルス検査を無料で受けられるようにしたものである。

 この法案のもう一つのポイントは、社会的弱者層に対する支援である。低所得者の家庭、高齢者、失業者、500人以下の中小企業の従業員、感染者、隔離者、学校が休校で子供の面倒を見なければならない親、これらの人に手厚い支援金、食料補助プログラム、医療保険、有休疾病休暇給を提供する内容を盛り込んだ。

 3月28日、トランプ大統領は第3弾として、アメリカ史上最大の2兆2000億ドルの規模の景気刺激対策法案に署名した。共和党のミッチ・マコーネル上院議員は「これはわが国の戦時の状態レベルの投資である」と言った。

 この法案は最も被害を受けた業界に5000億ドルの支援金を、中小企業に3500億ドルの融資枠を、病院に最低1000億ドルの補助金を提供するものである。

 当法案の目的は、90%以上の納税者に3週間以内に現金を届けることによって、経済を刺激し、感染が拡大する中で苦しんでいる中・低所得者の家庭と中小企業に経済支援を行なうことである。それによって、年収7万5000ドル未満の大人は1人あたりに1200ドル、年収15万ドル未満の家庭は一世帯当たりに2400ドル、すべての子供に1人につき500ドルの現金給付を受け取り、アメリカの大部分の4人家族の家庭は3400ドルの現金給付を受けることになる。

 この経済支援は単発の仕事を請け負うギグエコノミーの労働者、個人経営者、フリーランサーもカバーしている。

 また、この法案は一般大衆を優遇するものであるため、ムニューシン米財務長官は「年間100万ドルを稼ぐ人に小切手を郵送する必要はない」と明確に言った。

 カナダ

 2020年3月19日、カナダ連邦政府は820億カナダ・ドル(約6兆1300億円)に及ぶ財政支援策を発表した。その中の270億Cドルは企業や労働者への直接支援、他の550億Cドルは企業や家計の資金流動性確保のために充てられるものである。この支援策はカナダの国内総生産の3%以上を占めている。

 その中には自宅待機の必要があるが、有給休暇を取得できない労働者を対象に、最大900ドル(隔週で最長15週間まで)の新緊急医療給付が含まれている。休校のため、家で子供の面倒を見なければならない親もそれを申請できる。そして、児童手当を一時的に増額するために20億Cドルを用意し、6カ月間の無利子の学生ローンの返済猶予、ホームレスケアプログラムの予算の倍増措置も含まれており、零細企業の経営者には10%の給料手当を、最高25Cドルを支給する支援金も盛りこんだ。

 カナダのトルドー首相は、「危機に直面した時、国民は冷蔵庫に食べ物があり、住む家があり、必要な薬が買えて、危険を冒してまで働きに行かなくてもすむようにすることが我々のやるべきことだ。仕事がないとか、ローンの返済ができないとかの問題も、政府が代わりにやればすむことだ」と言った。

 イギリス

 イギリス政府も史上最大の財政支援政策を打ち出し、300億ポンド(約43兆円)の信用供与枠を設けると発表した。資金難に苦しむ企業を支援し、人員削減をしないよう、雇用を維持するようにサポートした。

 イギリス政府は従業員の雇用を維持した企業に対し、有給休暇期間の給料の8割、月に最大2500英ポンドの手当を支給すると約束した。支給期間は3カ月間とするが、状況によっては延長することも出来る。政府はこの財政支援には上限を設けないと言った。イギリスの財政部長は「経営者が給料を払えなくても、従業員を解雇しないようにするためだ」と言った。この支援策は数万、あるいはもっと多くの人の雇用を守ってくれることになるだろう。

 フランス

 『ウォール・ストリート・ジャーナル』の報道によると、フランス政府は直ちに、感染症の被害を受けた企業と従業員に450億ユーロの支援金を提供すると発表し、休職する従業員に支払う手当ては国が100%補填すると約束した。

 日本

 日本政府はGDPの1割に相当する緊急支援策を打ち出し、主に中小企業に対する支援を行ない、一定の水準まで所得が減少した家庭に対し、1世帯当たり20~30万円を給付し、他に割引券や商品券の支給も検討すると発表した。

 台湾

 台湾政府は10億台湾ドルの資金を用意し、無給休暇の労働者に手当を提供し、最大3カ月まで提供すると発表した。蔡英文総統は「台湾の国民が無料でウイルス検査を受けられるようにし、仕方なく14日間隔離せざる得ない場合、政府は食事、宿泊と医療費用を全額負担します。医療費を支払えない人、病院に受診に行けない人が出ないようにします」、「政府は必ず生活必需品の供給を保証しますから、買いだめする必要はありません」と言った。

 ギリシア、オーストラリア、ニュージーランドなどの国々も緊急支援策を発表した。

 中国

 中国共産党は家に閉じ込められ、働けなくなった市民に何をしたのだろうか? 国民は支援金をもらったのだろうか? 億万人の出稼ぎの農民工は数カ月も収入がなくなったが、彼らは現金支給を受け取ったのだろうか? 新しい失業者は失業保険金をもらったのだろうか? 家賃は免除されたのだろうか? それどころか、寄付が求められ、強要された。

 「中国は14億の人口を抱え、海外と同じように現金給付ができないだろう」と中共のために弁解する者もいる。それに対してネットでは、「14億人の納税額も天文学の数字ではないのか? 国民から徴収する時には多いと一言も言わず、国民のために使う時には、多いと言うのか?」との批判の声が上がっている。

 また、ツイッターでは「中国政府は世界一の金持ちではないか? 純資産は119兆元に上っている」、「世界第二の経済大国で、あっちこっちで金をばら撒いているのに、どうして外国と同じような経済支援対策がないのか?」、「自国の低所得者1人当たりに1万元の現金給付をしてほしい」などと言う人もいた。

 二、中小・零細企業への支援策

 米国の2兆2000億ドルの景気対策は、中小・零細企業に休業補償、融資、減税 などの支援枠を用意した。その多くの融資は資金の都合がつくまで返済する必要がないものである。共和党のマルコ・ルビオ参議員は「このようにしなければ、中小・零細企業は大量に倒産し、失業率も大幅に上昇するであろう」と言った。

 イギリスのジョンソン首相は「保険制度に適用しない商店、バー、劇場などに2億5000万ポンドの支援金を支給し、ウイルスによる感染症の影響を受けた営業所、中小企業に1年間の営業税を免除する」ことを約束した。

 一方、中国の中小・零細企業はどうであろうか? 昨年12月に新型肺炎が発生してから、各地では約2カ月間の間、経済活動が全面的に停止した。特に、小売り業、飲食、旅行、娯楽などのサービス業は大きな打撃を受けた。ドイツのメディアは、「北京の経済支援策はどこにあるのだろうか?」との記事を掲載し、「40%の中国家庭は収入がなければ、3カ月が限界だ」、「多くの企業は資金難に陥っている」、「欧米諸国は厳しい状況の中で、次から次へと自国経済に支援策を打ち出したが、中国政府はなかなか行動を取っていない」と述べた。

 中国では仕事の再開を押し進めるために、地方政府は税金を軽減して免除し、社会保険料の納付を猶予し、仕事の再開手当、低利の融資などの支援策を発表したが、その受益者は限られており、業種や規模も幅広くカバーされていない。支援金があったとしても、焼け石に水のようなものに過ぎず、特に、中共の独裁体制の下で、低利の融資、仕事の再開手当などの支給は新たなトラブルを引き起こし、これも腐敗の温床となり、社会の不平等を拡大するのではないか、と心配する声もあった。

 東北から広東省までの多くの都市では仕事を再開できず、家賃を支払わなければならない店のオーナーらは、家賃減免を求める抗議デモを行なった。資金繰りの悪化で、多くの企業は倒産した。企業は給料を支払えず、従業員を解雇するという悪循環の中で、失業者の急増はさらなる大きな社会危機を招きかねず、生活に苦しむ人々の怒りが活火山のように、いつ爆発してもおかしくない状況である。

 三、社会的弱者に対する配慮

 一つの国が強いかどうか、社会的弱者に対する配慮を見れば分かると言う人がいる。災難が来た時、高齢者や子供、障害者、失業者などの社会的弱者が最も被害を受けやすい人達である。この時、民主国家の政府は、コロナウイルス感染とそれらの二次災害から、彼らを守らなければならない。

 世論調査によると、感染症の影響で、2 割のアメリカの労働者は職を失った。これらの失業者は毎週政府から最高で600ドルの失業給付金を受け取ることができ、給付期間は4カ月であるという。

 アメリカ政府は、各地の銀行に借入金、学生ローンなどの返済を猶予するようにと求めた。各州も次から次へと様々な救済措置を発表した。例えば、家賃が払えなくても罰金を課さないとか、最長1年間の家賃の支払い猶予を与えるとか、ホームレスの為に収容場所を拡大するとかがある。

 アメリカ在住の友人は3月19日のツイッターで、「帰宅の途中で、運転しながら感動して泣いてしまった。なぜなら、アメリカのスーパーは商品を値上げしないどころか、かえって値下げしてくれたからだ」とつぶやいた。

 災難に直面して、アメリカは高齢者や子供に最も手厚い優遇策を与えた。例えば、学校は休校したが、18歳以下の子供に対して、依然として月~金曜日まで朝食と昼食を無料で提供している。

 ある中国系の年配者は、アメリカの高齢者優遇政策を以下のようにまとめた。

 1、医療保険機関(Medicare)から手紙を受け取り、ウイルス検査が無料であるため、支払いの心配 がないと知らせてくれた。

 2、人込みを避け、感染の機会を減らすため、店は高齢者のために早めに開店してくれた。

 3、早く開店しなかった店は、開店後の最初の1時間を高齢者専用にしてくれた。

 4、今日の午後、地元の議員から電話をもらった。必要があれば、議員本人に直接電話をしたり、議員のホームページにアクセスして助けを求めたりすることが出来ると伝えてくれた。

 5、州政府からの年金は額面通りに支払ってくれるから、お金の心配がない。

 フランスのマクロン大統領は医療サービス従事者をサポートしなければならないと言った。フランスの各省は託児所を作り、最前線で闘う医療従事者の子供達の面倒をしっかりと見るようにした。フランス政府はまた自宅隔離を求められて働けない貧困層に手当を提供した。

 感染症に対応するため、イギリス政府は今年度予算案から10億ポンドを割り当て、社会的弱者層に支援し、重要な職場で働く従業員の子供が勉強する学校、弱者層の子供を世話する学校は休校にせず、国が彼らを守る責任を果たした。

 イギリスの600の店舗は開店後の最初の1時間を高齢者、障害者の専用時間にし、最大のスーパーチェーンと一部の薬局は高齢者と障害者に宅配サービスを提供した。

 オーストラリア衛生省は、国民医療保険に加入していない人、例えば親族訪問、海外の留学生に対し、もし感染の疑いがあり、あるいは感染が確認された場合、救急病院と公立病院の入院費用を免除すると発表した。

 中国共産党の統治下の中国は、庶民はいつも犠牲者となる。武漢市と湖北省で、数え切れない患者が病院に入れないため、街で倒れ、家で死んでしまった。また絶望の中で自殺した人も、餓死した人もいた。悲惨な事件は至る所に起きた。

 これらのことに対して、中共当局は態度が冷たく、甚大な被害を受ける中で、却って歌ったり踊ったりして「感染症に勝利した」と大々的に祝った。

 四、強制的な都市封鎖と自らの外出自粛

 3月、国際人権救援機構は各国政府に、感染症拡大の防止策を実施する際、必ず基本的人権を保障しなければならないと呼びかけた。

 トランプ大統領も感染症拡大防止をするために行動制限などの措置を取るが、人権の侵害、国民生活に害を及ぼすような手段を取ってはならないと言った。

 疫病の拡散を防ぐため、米国の多数の州は外出禁止令「stay-at-home order」を出した。フランスも夜間外出禁止令を出した。これらは中共の都市封鎖とまったく違うものである。

 米国政府は市民に、基本的な活動以外、外出しないようとて勧告した。基本的な活動は、外出して必需品の購入、病院での治療、家族あるいはペットの世話などを指す。室外で運動をしてもよいが、人から6フィートの距離を保たなければならない、室内外でのいかなる集会を行なってもいけないとの規定があるが、人々は概(おおむ)ね自律しており、政府の自粛勧告を比較的よく遵守した。

 外出禁止令を守らないのは、潜在的な軽犯罪である。しかし、サンフランシスコの警察側は「警官の目的は市民を教育するためであって、逮捕するためではない」と言った。

 対照となるのは中共の強制的な都市封鎖のモデルである。マスクをしていない人を逮捕したり、感染の疑いの人が外に出ないよう板を打ち付け扉をふさいだりした。武漢市民は全く心の準備がない状況の中で、住宅地が突然封鎖され、外出も禁じられた。家には食べ物もなくてお金も底をつき、なのに、政府から高価な野菜を買わされ、市民はとても苦しい立場に立たされた。このような都市封鎖モデルは感染拡散防止に効果があるかもしれないが、しかし、薬や食料不足による二次災害をもたらし、市民にある恐慌を引き起こした。

 海外の多くの専門家は「感染症を封じ込めなければならないが、基本的な人権と尊厳も守らなければならない。中国は特別な政治体制の下、強制的な都市封鎖のような極端な措置を実施した。それは明らかな人権侵害の疑いがあり、他の国はとても真似できないことである。国民に信頼され、国民の福祉を守ることは政府の責任であるからである」と言った。

 五、感染状況を公表し、政府は社会からの監督を受ける

 74歳のトランプ大統領とバーンズ副大統領は、週7日間、毎日記者会見を生放送し、国民にその日の感染状況を報告し、記者からの様々な厳しい質問に答えている。

 イギリスも毎日感染状況の記者会見を行ない、首相と財務長官は自ら記者からの質問に答えている。

 台湾は全く都市封鎖をしていないが、感染予防に成功し、各国の手本になっている。台湾政府は初期段階で積極的な対策を取り、事前に国民に真相を知らせ、ビッグデータとネット技術を駆使して、情報の透明化を図り、国民に幅広く協力するようにと呼びかけた。

 一方、中共は本当の感染者数と死亡者数を覆い隠し、書き込みを削除し、SNS のアカウントを封じ込め、人を連行し、国民の言論をさらに厳しく管理した。数人の現地取材をした公民記者は連行され、今も行方不明のままになっている。

 感染症が発生してから、アメリカは軽犯罪者や健康に問題のある受刑者などを釈放した。イランでさえクラスターを避けるため、約7万人の受刑者を釈放した。

 しかし、明慧ネットの統計によると、感染症が最も猛威を振るう2月に、中国の26の省、市、自治区、直轄市の100の都市で、警官は不当に280人以上の法輪功学習者(25人は65歳以上)を連行し、113人の学習者に対して嫌がらせを行なった。彼らに何の罪があるのだろうか? ただ、善意で人々に災難がやって来た時に、平安を守る福音を伝えただけではないだろうか。

 結び

 上述したように、感染症に直面して、中共は人々の生死、国民の気持ち、社会や世論に対してまったく関心を示していない。彼らの唯一の関心事は、政権が安定であるかどうか、それだけだった。そのため、彼らは国民を監視し、情報を操作し、人命より自らの政権を守ろうとした。これらのことは、中国共産党の独裁体制の崩壊が目の前に迫っているように思えた。

 
(中国語:http://www.minghui.org/mh/articles/2020/4/9/403583.html)
 
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