米国務長官 自由か暴政かの選択
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 【明慧2020年7月6日】(米国=明慧記者・王英)ポンペオ米国務長官は6月19日、中国共産党(以下、中共)の不正は、自国だけでなく世界中の人々に悪影響を与えたと述べた。

 第3回コペンハーゲン民主主義サミット(6月18~19日)はビデオ会議で開催され、同長官は「ヨーロッパが直面する中共という試練」について演説した。サミットには同長官のほか、ベラ・ヨウロバー欧州委員会副委員長、香港の民主活動家である黄之鋒氏(香港衆志事務局長(訳注:当時の肩書))らが参加した。

'图:美国国务卿蓬佩奥通过视频在哥本哈根民主峰会上演讲'

ビデオ会議で演説するポンペオ米国務長官

 ドイツの駐屯兵として暴政を目の当たりに

 同長官は、演説で中共の様々な不当行為を訴えた。英中共同声明による50年間の一国二制度の破棄や、感染症に関する真実の隠ぺい、国内の残忍な人権弾圧、各国との国境紛争等、具体的に不当行為を列挙した。

 かつてドイツの駐屯兵だった同長官は、「鉄のカーテン周辺をパトロールしていた当時、暴政を目の当たりにしていた。また、中央情報局長官を務めていた時期には様々な独裁政権に対応していた」と振り返り、「自国民を弾圧する者は臆病で短絡的だ。民主主義こそ、人の尊厳と自由を尊重する政治システムである」と述べた。

 また、「今、ヨーロッパは米国と中共の二者択一を迫られている。西側諸国は長い間、中共を変え、中国国民の生活を向上させることができるというビジョンを抱いていた。私たちは期待していたのだ」と述べた。30年前の東欧や旧ソ連における民主主義の潮流の高まりで、自由主義が必ず全ての国に伝わる、そのことは不可避であると信じていたと言及し、だからこそ権威主義的な政権が民主主義の価値観に反していると分かっていても門戸を開き、融和政策を実行してきたのだという。

 数十年来、欧米企業は中国への投資の成功に自信を持っていた。同長官は「私はかつて、中国で事業展開する小さな会社を経営していた。サプライチェーンを深圳(しんせん)等にアウトソースしていたのだ。そして人民解放軍の付属学校生徒に米国の教育機関を開放するとともに、中共政府が背後にいる企業の米国への投資を歓迎した」と述べ、

 「私たちは、一連の事実を明確にする必要がある。私たちがいったい誰と、どんなつき合いをしているのか。私たちは、もう気づいている。世界も日を追うごとに気づいてきている」と強調し、「中共は香港の自由の終焉を命じたが、これは国際条約に違反し、香港における人権を侵害している。中共は多くの国際条約に違反してきたが、これもそのひとつだ」と述べた。

 中共の不正に国境なし 全ての人々に悪影響

 同長官は、中共の不正は中国国内とその周辺に限らず、世界中の全ての人々に悪影響を与えていると非難した。「中共は武漢肺炎(中共ウイルス)について嘘をつき、世界中に拡散させた。今まで数十万人が死亡し、世界経済に大打撃を与えている。疫病はすでに数カ月も続いているが、未だに生きたウイルスのサンプルを入手できていない。私たちは武漢研究所への立入調査ができないうえ、昨年12月に武漢で感染した患者の情報も入手できていない」 と述べた。

 また、「中共は、虚偽の情報と悪意あるネットキャンペーンを広め、米国政府を貶め、欧米間の不協和を生み出そうとしている。発展途上国には負債を負わせ、中共に依存するよう仕向けている」と述べ、

 「皆さんは、これらを目撃してきた。この会議に参加している方々は、中共が各国にHUAWEI(ファーウェイ)との取引を強要してきたことを知っている。また中共は港などの重要な施設を買収してきたが、これは欧州への侵略的行為だ」と語った。

 同長官は、「私たちは(中共との)経済的な結びつきを重視するあまり、目をくらまされてはならない。中共という試練は、近づいてくるという段階を過ぎ、もう直面しているのだ。中国の国有企業からの投資には、すべて疑惑を抱かざるを得ない。まさに米国と同様に、南米やアフリカ、中東、アジアの友人らと同様に、欧州も中共という試練に直面しているのだ」と述べた。

 迷わずに暴政と自由のどちらかを選択

 同長官は今週初め、欧州各国政府と話す機会があった。「欧州が懸念しているのは、米国と中共のどちらにつくか二者択一を迫られることだと認識している」と述べ、

 「これはそんな単純なことではない。これは米国か中共かではなく、自由か暴政かの選択である。そして人々に選択を迫っているのは、中共なのだ」と語った。

 同長官は、欧州が試練に気づきつつあることに安堵しているとし、「民主主義的なやり方で勝利できるのかと疑問視している人もいる。しかし民主主義は中共が考えているほど脆弱ではない。民主主義は強い。私たちはファシズムを打ち破り、冷戦に勝利してきたのだ」と述べた。

 同長官によれば、独裁政権はかえって脆弱であり、だからこそ中共の広報担当は、権力の支配力を維持するため、情報と言論の統制に力を注いでいるのだという。

 同長官は、最近の欧州諸国の中共に対する抵抗を称賛した。「対中政策に関する列国議会連盟」には毎週のように新メンバーが加わっていること、中共による新聞への検閲にデンマークが勇敢に立ち向かったこと、英国がファーウェイとの関係を断ち切ろうとしていること、チェコが中共の強権的外交に抵抗したこと、スウェーデンは自国の孔子学院を全て閉鎖させたこと等を具体的に列挙した。

 同長官は「中国という試練に関する欧州からの公式な声明をもっと聞きたい」とし、「米国も欧州と共に立ち上がる準備ができている。はっきりさせよう。重要なことは、断固たる行動をとることだ。躊躇せずに暴政と自由のどちらかを選ぶのだ」と呼び掛けた。

 同長官は、最近の中国外交官との会談で強調したこととして「中共の発言を聞くだけでは不十分であり、実際の行動を確認することが必要だ。香港における中共の存在、チベット、ウイグル、インドに対する行動、フィリピン、マレーシア、インドネシア、ベトナム等の経済圏での行動、中共ウイルスの調査を大胆にも要請したオーストラリアへの強要。オーストラリアは、武漢からどのようにウイルスがミラノやテヘラン、オクラホマシティ、ベルギー、スペインに拡大し、世界の経済に打撃を与えたのかを調査するよう中共に求めたために、脅迫を受けたのだ」と述べた。

 米国は香港の自由を制限する責任者を特定

 同長官は、中共は香港版「国家安全法」を成立させ、中共が香港の人々に約束した、50年間の自由を破棄しようとしているという。

 長官は、9月に香港で立法会(訳注:日本の国会に相当)の選挙が行なわれるとし、「もし、この選挙が延期、中止、または公正でない何らかの方法で処理された場合、 それは香港の自由に関する中共の意図を知るために必要なすべてのことを、私たちに教えてくれるだろう」

 「トランプ大統領は、中共が香港を深圳と上海と同様に扱うのであれば、米国も香港を(深圳と上海と)同様に扱うと明言している」と述べた。

 同長官は、「トランプ大統領が明言しているが、この一国二制度という約束を損なった中国の責任者を追求する責務が私たちにある。よって中国の意思決定プロセスを踏まえて誰に責任があるのか特定し、説明責任を負わせるための適切な枠組みが決定されている。 香港の人々を傷つけたくないのだ。 彼らは自由を愛している。 中共は香港の人々に自由を与えることを拒否しており、私たちには、あらゆる責任を追求する責務があるのだ」と述べた。

 そして長官は最後に「香港の人々はどう反応するのだろう? 率直に言って、中国本土の人々も自由を愛しており、彼らもこの出来事を注視している。中共の統一主義者と対峙するときに忘れてはならないことは、中国の10億人以上の国民は別の異なる考えを持っており、彼らも状況の展開を注視していることだ。そして思うに、台湾の人々も確実にこの状況を注視していることだろう」と締めくくった。

 
(中国語:http://www.minghui.org/mh/articles/2020/6/20/407958.html)
 
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